Final Cut Pro X(Compressor編)

June 30, 2011
いろいろすっ飛ばして「Compressor編」です。「Compressor編」というかCompressorとFinal Cut Pro XのQuickTime書き出し...アップルでいうことろの「共有」について。

まずFinal Cut Pro Xはそれ単体でQuickTimeへの出力機能があり、Compressorは別で販売されています。ちなみに私が買ったときは5,800円也。結構高いですね。Final Cut Pro Xと合わせて購入すると4万超え(35,000円なら安いと思うのに、なぜか急に買う気にならなくなる値段...)。

Compressor - Apple
https://itunes.apple.com/jp/app/compressor/id424390742?mt=12

当初は「別にComporessorは要らないや」と思っていたんですが、実際に使ってみるとCompressorがないと色々不便だとわかりました。どこが不便ってQuickTimeの書き出し...失礼「共有」でした...をしようとするとProResとH.264しかない。他に設定を変更したり保存したりするところもない。

調べてみればCompressorを使えば書き出せるとのことでしたので、かなりうんざりした気持ちで購入したわけです。それでも新しいCompressorに多少興味もありましたし、それなりに新しいソフトに期待してたんですが起動した画面を見ると...

compressor_4_screen.jpg
Compressor4の画面

あれ?パッと見た感じ、あんまり...というか全然変わってませんよ。ちなみにFinal Cut StudioのCompressorを立ち上げて比べてみてもほとんど変化なし(FCSは英語版なのでちょっと雰囲気ちがいますが)。

compressor_3_screen.jpg
Compressor3の画面

まぁとにかくこれでCompressorが利用できるようになるわけです。Compressorではインストール済みのQuickTimeコンポーネントで「書き出し」の設定を行なうことができるようになり、FCPXの「共有」プルダウンから「Compressor設定を使って書き出す」というメニューが実行できるようになります。

しかし、Final Cut Pro Xでは「これからの編集とは」みたいなこと言って機能やUIの刷新をしたのにCompressorのあまりのそのままっぷりにはちょっと首を傾げたくなります(Qmasterのメニューがついたくらい?)。メニューやら環境設定やら見てもあんまりにもそのまま過ぎて、ちょっと自分がなにか見落としてるのではないかと思ったのでAppleのCompressorのページで新機能紹介を確認しちゃいました。

Apple Japan - Compressor 4
http://www.apple.com/jp/finalcutpro/compressor/

うーん本当に新しい機能ってない、言葉はわるいけどしょぼい。

とりあえずQmasterがメニューに統合されてCompressorから直接設定したりキューを追加したりできます。Qmasterの設定やバッチモニターは特に変化ないのですが、Batch Monitorという名称が「Share Monitor」になってここだけFCPX風のUIに。「Share...」って名前付けたところだけは、新しくなってるのがなんか可笑しい。

Qmasterの設定自体は旧バージョンとかわりません。単にCompressorから起動できるようになったってだけです。After EffectsやShake、Nukeなどのバッチレンダリングも(試してませんが)可能です。ただしCompressorを起動しないといけないわけですが。旧FCSのQmasterのクラスタとは互換性がないのか、現時点ではCompressor 4から見えません。なにか設定を間違えている可能性もありますし、直接コマンドで指定したりとかは試してません。

あとQmasterに送ってからがすごく重いです。レンダリング始まるまでが容易でない感じで、レンダリング始まると一瞬で終わる感じ。総じて時間は3倍以上かかっちゃいました。これは現状私のマシンのスペックに依存している可能性もあるのでなんとも評価しずらいところ。

事実上様々なQuickTimeフォーマットへの書き出しをFCPXから直接行ないたい場合には必須になっちゃうんですが、正直私は「高い」と思いました。FCPにバンドルしてもいいくらいの出来です。バージョンで言えば3.1くらい。32bitアプリですし、目新しさとかないです。操作感もFCPXとはまったく違う(っていうか古いのそのまんま)なので、今まで使っていたにも関わらず使いやすいとも感じないです。

FCPX自体は、わかりやすくて簡単にして安くしたっていう方向性でプロシューマーとかハイアマチュアをターゲットに変更したわけで、なんとなく方向性はわからなくないです。私には手軽に使えて安くて便利なツールがひとつ増えた感覚です...が、このCompressorはまったく意味がわからない。これってわざわざこんな惨めな状態で新規リリースする必要あったんですか?XML/EDLサポートや旧バージョンのプロジェクトファイル互換を捨てられるなら、「FCPXのQuickTime出力はProResとH.264だけ」って割り切りなんてすごく容易いことだと思うんですが。安いものなんですが、すごく買って後悔しました。


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