NukeでCinemaDNG

October 22, 2012
まだ仕事で使用するというわけではなくて単なる興味本位なんですけど、NukeでCinemaDNGの読み込みを試してみました。

J_rawReaderはLibRawベースのNuke用プラグインで、Canon(CR2, CRW)、Nikon(NEF, NRW)、Panasonic(RW2)およびAdobeのDNGフォーマット(DNG)をサポートしており、これを経由してCinemaDNGも読み込むことができます。

nukepedia - J_Ops
http://www.nukepedia.com/plugins/other/j_ops/


nukecinemadng2012-10-22_1.jpgいつもフッテージを読み込む要領でReadノードにCinemaDNGファイルを指定するだけです。J_rawReader経由でCinemaDNGを読み込むとRaw現像に関するオプションがReadノードのプロパティに表示されます。

ストレージが高速であれば読み込んだ直後はかなり軽快にプレビューが可能です。ファイルサイズは大きめなので、それなりのストレージを用意しておいた方がいいかと思います。Proxyのオプションがあるので、ディスクが高速でない場合にはProxyを設定しておくことでいくらか解消できます。

ただし軽快にプレビューできるのは、読み込んだ直後の状態のときで、ホワイトバランスやInterpolation、Noise Reductionなどのパラメータを調整していくとどんどん重くなっていきます。R3Dくらいを予想していたのですが、4K(HDRx)のR3Dよりもはるかに重い...。CinemaDNGのフッテージをJ_rawReader経由でコンポジット作業に使用する場合、プリレンダしたほうが安全かと思います。


Blackmagic Cinema Camera(BMCC)にはローパスフィルタがありません。できるだシャープな状態を維持するために意図的にフィルターを装備していないらしいのですが、そのためにBMCCのCinemaDNGのフッテージにはセンサーのベイヤーパターンが見られます。ベイヤーパターンについては本ブログ「ブルーバックとグリーンバック」に説明があります。


ちなみにAfter EffectsのCinemaDNG読み込みでは、Adobe CameraRaw経由になるので、そこで自動的に現像処理が施されてしまいます。デフォルトの状態で処理するとかなりコントラストが強くなります。もちろん現像処理である程度調整は可能なのですが、できるだけRAWファイルの状態を維持しようとするには不向きな印象です。私の場合、CameraRaw経由でデベイヤー処理を完全に除去することはできませんでした。


ベイヤーバターンがあるのであまり目立たないのですが、BMCCは4:2:2記録なのでクロマずれも発生しています。このズレとベイヤーパターンのためにいわゆる偽色も出ます。HS_422Chromafixでクロマズレは除去可能です。

RGBチャンネル :
nukecinemadng2012-10-22_5.jpg
Rチャンネルのみ:
nukecinemadng2012-10-22_6.jpg
除去すると、いままでYCCのズレのために目立たなくなっていたベイヤーパターンがR/G/Bの各チャンネルではっきりします。

nukecinemadng2012-10-22_7.jpg
カメラ本体の出荷も滞っているようで、実際にBMCCのCinemaDNGを仕事で扱うようになるのはもう少し先かもしれませんが、BMCCはこのベイヤーパターン(とそれによって生じるモアレ)との戦いになりそうな予感です。

キーイングなどで使用する際には、事前にトランスコードするにしてもデベイヤー処理をかけずにデータをもらった方が良い結果になりそうです。ちなみにBMCCはProResも記録できるみたいなんですけど、こちらはどうなるのかわかりません。After EffectsはProResも何かしらフィルタかかってNukeと読み込み結果が異なるんですよね...(この辺はまた後日)


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HS_422Chromafix for Nuke