ProRes 4444 XQで書き出し

August 3, 2014
前回の記事「Apple ProRes 4444 XQ」で、ProRes 4444 XQでの書き出しにはFinal Cut Pro XまたはCompressorが必要と書きましたが、FCPXだと読み込みのメディアフォーマットに限りがあるし*、折角の最高品質のフォーマットを試すのだから、R3DやARRI RAWからコンバートしてみたいという...平たく言えばNukeやAfter Effects、Smokeなんかで書き出したいわけです。

*FCPXだと読み込みがQuickTimeになるので(連番もがんばれば読めるんですけど、あくまで静止画の扱いで本流ではないので...)非圧縮でも10bit 4:2:2ということになり、ProRes 4444 XQの品質12bit 4:4:4を活かせません。

その方法ですが、まず最初にお断りとして、この方法はAppleが推奨する方法ではありませんし、場合によっては不具合が発生する可能性があります。この方法を試した結果事故や損害が発生しても、当サイト、サイトオーナーとそれが所属する組織は一切責任を負いませんので、かならず自己責任でお試しください。

準備
まず大前提として、前回も書きましたがFinal Cut Pro X 10.1.2以上またはCompressor 4.1.2以上が絶対に必要になります。どちらかひとつでも構わないので安くあげたい場合はCompressorを購入するといいと思います。旧バージョンのFCP7やFCPX10.1.xに前回紹介したProApps Codec v1.0.5だけインストールしても書き出しは不可能です。Mac OS X 10.8対応のFinal Cut Pro X 10.0.xでは駄目なので、必然的にMac OS X 10.9が必要になります。

Final Cut Pro X - Apple
https://itunes.apple.com/jp/app/final-cut-pro/id424389933?l=en&mt=12

Compressor - Apple
https://itunes.apple.com/jp/app/compressor/id424390742?l=en&mt=12

※実は体験版をダウンロードすれば、Mac OS X10.8だけでも可能なんですが、ライセンス的には問題になりそうなので、かならず正規ライセンスを受けている(いずれかのバージョンのFCPXかCompressorを購入している)場合にのみにしてください。AppStoreではFCPX, CompressorをMac OS X10.8で購入しようとすると、それに対応した旧バージョンをダウンロードすることが可能です。

Final Cut Pro X フリートライアル
https://www.apple.com/jp/final-cut-pro/trial/


ProRes 4444 XQの書き出し用コンポーネントを探す
FCPXやCompressorの挙動をみるかぎり、どこかにコンポーネントがある筈ですので、それを探してみたんですが、それが存在している場所が

Final Cut Pro X 10.1.2の場合:
/Applications/Final Cut Pro.app/Contents/PlugIns/Compressor/ CompressorKit.bundle/Contents/PlugIns/ProMediaIO/Components

Compressorの場合:
/Applications/Compressor.app/Contents/PlugIns/Compressor/ CompressorKit.bundle/Contents/PlugIns/ProMediaIO/Components

ここに「AppleProResCodecEmbedded.component」という、そのものずばりなコンポーネントがあります。これがProRes 4444 XQ書き出しに使うコンポーネントです。

appleorpores4444codecomponent.jpg 怪しそうな場所を片っ端から検索して発掘したんですが、まさかこんなに深い場所(アプリケーションパッケージ内にあるコンポーネントパッケージの更に中)にあるとは...しかも、当初私はFCPXとCompressorから参照できる共通の場所(/Library/Application Supportとか)にあると推測していたんですが、それぞれのアプロケーションごとに独立したコンポーネントを参照していたとは予想外でした。


インストール
インストールは「AppleProResCodecEmbedded.component」を

/Library/QuickTime

にコピーするだけです。これで他のアプリケーションでもProRes 4444 XQで書き出しが可能になります。この時OSは10.8でも大丈夫です。つまりMac OS X 10.9はFianl Cut Pro X 10.1.2をインストールしてこのコンポーネントを取り出すのに必要ということです。

インストール後、他のアプリケーションのQuickTimeの出力設定でProRes 4444 XQが選択できるようになります。NukeではAdvancedの設定から選択可能です。

Screen Shot 2014-08-03 at 15.35.57.jpg

After Effectsでは出力モジュールのQuickTimeのオプションで選択可能になります。

Screen Shot 2014-08-03 at 18.02.19 copy.jpg

前記事で「ap4x」となっていたアイテムのコーデック表示も「ProRes 4444 XQ」になりました。

Screen Shot 2014-08-03_4x4xq.jpg

これでNuke, REDCINE-X PRO, After Effectsなどで書き出しが可能になりました。Final Cut Pro X 10.0.xやFinal Cut Pro 7でも可能です。

逆にDavinci Resolve、Smokeなど、すでにあるプリセットからのみコーデックが選択可能なものは、インストールしても書き出すことはできませんので注意してください(なんか方法はあるかもしれませんが、今回はあまり深追いしていません)。

余談ですが、この方法でMac OS X 10.7にインストールしてみたところ10.7でもProRes 4444 XQの読み込み/書き出しが可能になりました。ただサポートされていない環境なのでちゃんと動作しているのか確証はありません。


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