NukeではDeep Imageに限って(それ以外は1.7ライブラリ)OpenEXR 2.0のベータライブラリが使用されていましたが、正式にOpenEXR 2.0がリリースされました。
OpenEXR - Announcements
http://openexr.com/#announ
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以下アナウンスの引用抄訳
2013年4月9日Industrial Light & Magic (ILM) と Weta Digital は、ここにOpenEXR2.0のリリースをアナウンスします。ILMで最初に導入され、その後Weta Digital, Pixar Animation Studios, Autodesk などといった主要な業界リーダーによってメンテナンスと拡張がされてきたオープンソースのハイダイナミックレンジファイルフォーマットのメジャーバージョンアップデートです。
本リリースにはメージャーバージョンアップに伴ういくつかの新機能が含まれています。主な改良点は以下の通り:
1. Deep Data のサポート
ピクセルは可変長のサンプルのリストを格納できます。Deep Imageの基本原理は、それぞれのピクセル内に、深度によって異なる複数のデータを格納できるというものです。OpenEXR 2.0は、Deep Cimpositingワークフローのためのハードサーフェース(固形)とボリューメトリック(容積)の両方の表現をサポートしています。
2. Multi-part イメージファイル
OpenEXR 2.0によって、1つのファイル内に複数の「別個でありならが関連する」データのパーツを格納できるようになります。いずれかの部分にアクセスする際には、他から独立し、そのときに不要な部分のピクセルにアクセスをする必要はありません。その結果、チャンネルのサブセットにのみアクセスした場合、より高速に読み込みます。さらにmultipartインターフェースは、ビューが別々のパーツに可能されたステレオイメージのサポートが組み込まれています。これによってOpenEXR 2.0のステレオイメージファイルは、従来のOpenEXRによるmultiviewよりも高速に動作するようになります。
3.最適化されたピクセルの読み込み
RGB(A)のスキャンライン画像のデコードがSSEプロセッサによって高速化され、multipartとmultiviewを含む新旧両バージョンのファイルの読み込みが大幅に高速化されます。
4. Namespacing
ライブラリは、異なるバージョンのライブラリでコンパイルされたパッケージのコンフリクトを避けるために、バージョン化されたNamespaceを採用しています。
OpenEXR 2.0はメジャーバージョンアップデートになりますが、新しいライブラリで作成されたファイルでも、新しい機能セットを用いていなければ、以前のバージョンのライブラリとの完全な下位互換性があります。 OpenEXR 2.0ライブラリを使用することで、パフォーマンスの改善、ネームスペースのバージョン、基本的なmultipartやdeep読み取りサポートが、コードを改変することなく利用可能になるはずです。
このコードはDeep Compositing(Weta Digitalで開発されたシーン内の異なるエレメントのレンダリングを切り離すための画期的な合成ワークフロー)をサポートするようにデザインされています。具体的には、1つのレイヤー内での変化を分けてレンダリングすることが可能になり、これまでの伝統的なコンポワークフローでのホールドアウトの作業や、エレメントが奥行き方向に移動する複雑なシーンでのレイヤーの順番入れ替えといったような、他のレイヤーの再レンダリングが不要となります。Deep Compositingは映画「アバター」で主要なこんポジティングワークフローとなり、業界で幅広く採用されているのが見られます。この技法はデプスとカラーの値をシーン内のそれぞれのピクセルに保持できるようにし、大きくて複雑なシーンでのより効率的な処理とアーティストの反復処理からの解放を可能にします。
オープンソースの思想に合致した、多くの企業がこのフォーマットのサポートと採用の推進に貢献しました。とりわけ、Pixar Animation StudioはDtexToExrをマイクロソフトPublic Licenseに基づいてOpenEXRリポジトリに提供し、この分野での特許の懸念材料をクリアにしました。またオートデスクはリアルタイムポストプロダクションのワークフローに対するパフォーマンスの最適化を提供しました。
すべての要件を確実なものにするための多方面におよぶ努力が広範囲の採用を手助けし、OpenEXRの大きな成功に対して忠実でした。多くのソフトウェア企業が、業界をリードする多数のアプリケーション内でのサポートを確実なものにするためにベータサイクルに関与していました。SideFXのHoudini, AutodeskのMaya, Solid AngleのArnold renderer, Sony Pictures ImageworksのOpen Image IOなど多くの製品が既にこのフォーマットのサポートをアナウンスしています。
OpenEXR 2.0はDeep Compositingの採用に関する重要なステップで、それはビジュアルエフェクトパイプラインの全域に渡って、読みやすく作業しやすい一貫性のあるDeep dataのファイル形式を提供します。The Foundryは、Deep CompositingワークフローのためにOpen EXR 2.0を自社のコンポジティングアプリケーション「Nuke」に組み込んでいます。
OpenEXR 2.0はすでにWeta DigitalとIndustrial Light & Magic両社で使用されています。ILMはMarvelの「The Avengers」と2013年夏の公開が待たれる2作品「Pacific Rim」と「The Lone Ranger」で、この新しいフォーマットを利用しました。Weta Digitalがこのフォーマットを使用した最近の例は「Prometheus」と「The Hobbit」および前述の「The Avengers」です。さらに多くのビジュアルエフェクツのスタジオ - Sony Pictures Imageworks, Pixar Animation Studios, Rhythm & Hues, Fuel, MPC など- がすでにDeepワークフローを彼らのコンポジティングパイプラインに組み込んで使用、あるいは組み込みの作業を行っています。
ビジュアルエフェクツに加え、このフォーマットへの追加機能は、建築、グラフィックデザイン、自動車、製品試作、など多くのデザイン分野の用途においても、depthデータを2次元データに割り当てることが可能になるということを意味します。
(以上Open EXR公式サイトからの引用と抄訳)
ソースコードは同サイトよりダウンロード可能です。ドキュメント類はまだ更新されていないようですが、「Technical Introduction to OpenEXR」は2.0ベータ時の情報で更新されており2.0に関する記述も含まれています。
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