ワールド・ウォーZ (映画のほう)

February 2, 2014
週末に映画「ワールド・ウォーZ」を観ました。なんでタイトルにわざわざ「映画のほう」なんて書いてあるかと言えば、私がこれの原作の大ファンだったりするわけで、それについては過去の記事「World War Z」 に書いてあります。そこにも書いてありますが、なんか今回の映画化は微妙な感じがして劇場では観ませんでした。代わりにパシフィックリム2回観ちゃいましたし...

とりあえず週末にAppleTVでiTunes Storeからレンタルして観てみました。余談ですが、なんかAppleTVのファームウェアをアップデートしてからiTunes Storeのダウンロード時間が異常にかかるようになり、この映画もダウンロードに2時間くらいかかりました。前は映画1本15分〜20分だったのんですが、レンタルですぐみたいって時にこれはないわ...というわけで今後はちょっとiTunes Storeは避けようと思います。

例によってネタバレしますので、まだ観てない方でネタバレされたくない方は続きを読まないでください。

以前原作のことについて、このブログで書いたときに「なんかタイトル以外は原作使ってないんじゃないと思える感じで...」と書いているのですが、実際に観てみた感想としては

「本当にタイトルしかつかってなかったよ!!」

気を取り直して映画を振り返ってみると、まず元国連調査員の主人公ジェリー(ブラッド・ピット/本作のプロデューサーも兼任してます)が、家族を守る(というか調査本部のある空母に乗せてもらえるという条件と引き換え)ために、発生原因などの調査をするために博士を引率して護衛の特殊部隊と一緒に世界を飛び回るという展開。

とにかくこの主人公の無敵っぷりがすごくて、肝心の博士は序盤給油に立ち寄った韓国でうっかり死亡。護衛の特殊部隊も主人公の衛生電話がこれまたうっかり鳴ったせいで死亡。それでも独力で世界を飛び回り、飛行事故も自力で生き延びて、カーディフのWHOまで歩いて到着。原因まで推測し独断で致死性ウィルスを打ってこれもなぜかゾンビに襲われない特殊能力を獲得。もうマト○ックスのネ○みたいな無敵状態で生還、結果的に一人で世界を救い(最後の方は思わず笑いが)、無事家族と再開、「戦いはまだ続く!」と無理矢理に続編匂わせて強制終了...これだけ書くとトンデモ映画ですね。

あ、ちなみにカーディフのWHOでドクター役でPeter Capaldiが出演していて、この後にDoctor Whoの12代目ドクターへのキャスティングが発表されて話題になってました。これはこの映画の意図的なキャスティングだったんじゃないですかと思います。なぜならカーディフというのはDoctor Who(やスピンオフのTorchwood)でも非常に重要な場所ですし、後述する脚本のオリジナルエンディングの件もありますし。まぁDoctor Whoの話はまた別の機会にでも...

映画は、劇場でローラーコースタームービーとして観ればそれなりに楽しめたんではないかと思うくらいのスピード感。個人的には序盤は結構楽しめたんですよね。博士がうっかり死んだあたりから「あれ?」となりはじめたんですけど、イスラエルから脱出、飛行機墜落まではとにかく見た事も無いゾンビ描写の連発(ただし捕食シーンは控えめ)。ところがカーディフのWHO研究所から、途端にゾンビ描写が地味になります。建物内でかくれんぼ&追っかけっこに終止し、序盤のゾンビとは別物みたいになります。これには理由があります。

この映画は撮影が難航したことで知られてます。脚本が何回も書き換えられ、最終的なエンディングも映画会社の方針によって変更。30分以上の追加(差し替え)シーンの撮影を追加で行ない、おかげで予算を大幅超過。撮影監督Robert Richardsonも降板(どんだけ凄惨な現場だったんだ)...

IMDBにはこの変更前のエンディングについて書かれてます。

IMDB - World War Z
http://www.imdb.com/title/tt0816711/trivia?item=tr1956677

抄訳するとこんな感じ:

主人公たちの乗った飛行機はカーディフではなくて、モスクワに墜落します。生存者は集められ、老人や病人は処刑されてしまいます。ジェリーはロシア軍に徴兵されます。どれだけの期間が経過したのかわかりませんが、私たちはロシアでゾンビと戦うジェリーの姿を見ます。彼はゾンビが寒さの中では弱くなるということに気がついていました。映画は彼がアメリカに戻り、オレゴンの海岸線でゾンビに対するD-Dayのような侵攻作戦を指揮しているところで終ります。


...というわけで、なんで唐突にDoctor Whoが登場したのか、WHOでいきなりゾンビがしょぼくなったのかという理由がこれです。エンディングは唐突にハッピーエンドで終りつつ、世界各地でゾンビと戦う映像があり、その中にモスクワで使われる筈だったショットも見る事ができます。

このエンディングなら、今後の続編で原作のテイストに方向を変えることも可能でしたね。残念です。原作が「World War Z」だったらこれも素直に楽しめたでしょうね。ただ原作がこういう形で映画化されてしまうと、オリジナルに近い形の映像作品(映像化不可能な気もしますが)は望めなさそうです。


とにかく、この映画が好きな人も嫌いな人も「ゾンビが好き」なら絶対原作は読んで欲しいです。冒頭でも書きましたが、原作についての感想は過去の記事「World War Z」参照してください。

WORLD WAR Z
WORLD WAR Z
posted with amazlet
マックス・ブルックス
文藝春秋



ちなみに下は原作ファンが作った自主制作ムービー。原作中の「ヨンカーの戦い」を描いたものですが...こちらも全然描き切れてませんけど、でも原作愛に溢れてます。



Amazonの広告貼っちゃってますが、すんません...Blu-rayは未見です。 Blu-rayだとエクステンデッドエディションで劇場公開版との違いもあるそうなので、こちらで観ればまたちょっと違った感想になるかもしれません。



最後にこのブログっぽいこと書いておくと、使用カメラはARRI AlexaとArriflex 435。フィルムとデジタル混成です。たぶんフィルムはハイスピードショットだけのような気がするんですけど、ひょっとすると冒頭のフィラデルフィアの交通渋滞のあたりもそうかも...自信なし。

なんかまとまりのない記事ですんませーん!関係ないけどWalking Deadのシーズン4後半が、もうすぐスタート!

[関連記事]
World War Z
「The Walking Dead」とゾンビ実用書
月に囚われた男