Atom Kraft AE 1.0.0を試す

September 10, 2012
日曜はなんか疲れがどっと出て寝まくってしまい、なんかこのまま週末をやり過ごしちゃうのも勿体ないので、AtomKraft AE 1.0.0を試してみました。期間限定で半額セールだったので脊髄反射的に購入しようかと思ったのですが、まずは15日のトライアルをまず試してみることにしました。

Nuke版と違ってフローティングライセンスはなく、年間保守費用も発生しません。レンダリング用のライセンスは無償といった感じで、色々導入しやすくなっているようです...が、簡単にできそうなライセンスのインストールが一番やっかいでした。

まずAtomKraftのウェブサイトで色々情報を物色してみたのですが、購入時に自動でテンポラリライセンスが発行されるようです。その後パーマネントライセンスが送られてくるという手順。15日のトライアルもテンポラリと同じようにその場で発行してもらえます。必要なのはSystemIDなのですが、これは使用中のネットワークインターフェースのMACアドレス「の一部」です。

SystemIDを確認するには予めAtomKraftをインストールしておく必要があります。AtomKraftのサイトによればMacOSXの場合は「/Applications/Utilities」に「Atom Kraft License Utility」が入ってるはずなんですが...ナイ。よくみると「/Applications」直下にありました。これを起動して表示されているSystemIDをAtomKraftのサイトに入力してトライアルライセンスを入手。このライセンスファイルを同じく「Atom Kraft License Utility」に読み込ませて無事ライセンスインストール完了...と思ったんですが、ウォーターマークでちゃってます。トホホ。

「Atom Kraft License Utility」を開いて確認してみるとネットワーク上のライセンスサーバー見に行っちゃってます。インストールしたのはMac miniなんですけど、このマシンにはNukeの環境が入っていて、それにAtomKraft Nuke(のフローティングライセンス)がインストールされているのですが、そのライセンスサーバーを参照して「正しいライセンスがない」となっている模様。んー...Nuke版との同居は止めといたほうがいいのかもしれない。

どのみちMac miniでNuke使う機会なんてほとんどありませんでしたし、もうこの際だからMacProがNukeでMac miniがAEという切りわけにしてしまおうということで、Nuke用の「atomkraft.ini」を削除。一度マシンを再起動すると「Atom Kraft License Utility」はローカルのライセンスサーバーを参照するようになりました。。

atomktaft100llicutilityscreenshot.jpg

因みにOBJ形式を使う場合、TrapcodeのFromがインストールされているとOBJのインポートがFromで行われてしまいます(After Effects自体にOBJのインポート機能はない)。この場合、OBJ形式のファイルの拡張子をABJとすればAtomKraftが読み込んでくれます。

ちょっと使ってみた感想としては、Nuke版と比較するとかなり簡易な構成です。NukeとAEではそもそも3Dシーンの持ち方からして違うのですが、AE版では手っ取り早く3Delightのライティングを行えるようになっています。ベータ版では存在していたAtomBasicMaterialもなくなっていて、マテリアルの設定はAE標準のマテリアル設定のインターフェースを使用。もちろんカスタムシェーダーなども使用はできませんしライトもAEのものを使用するようになっています(IBLだけはAtomKraftを使用する)。ディスプレイスメントマップやサブディビジョンサーフェースは可能。

atomkraftae100iblscreen.jpg
AtomProjectCameraというプロジェクションマップ用のエフェクトもあり、After Effects上でプロジェクションマップを行うことが可能らしいのですが、これはまだ試してません。

「AtomOutputChannel」で各チャンネルを個別に出力することが可能です。これにはPointPositionPassやDepth、Normalといったものも含まれます。

atomkraftae100depthchannnel.jpg
After Effects内でこれらのチャンネルを使用して2Dで効果を加えることもできるようになっているのですが、After Effectsには標準でマルチチャンネルを出力する機能がないので、3DシーンをOpenEXRのチャンネルにしてプリレンダしたり他のアプリケーションに持って行くといった使い方には向いてないかも。ProEXRを使えばマルチチャンネルのOpenEXR出力できるんですけど、自動で出してくれるのはRGBAZだけで、他のチャンネルは一度レイヤー上に展開しないといけません。「AtomOutputChannel」はちょっと表示が不安定で、更新されなかったり、全く絵が出てこなくなったりしてるのですが、これらがレンダリング時に悪影響を及ぼすか、単に表示上(あるいは私の設定上)の問題なのかも未確認。

ちょっと前に話題になっていたElement 3Dなんかと違ってモーションに関する機能はなく、あくまでAfter Effects上で3Delightのレンダリングを行うためのプラグインで簡単にそれらしいものを作成してくれるプリセットなどもありません。After Effectsで実写合成はほとんどやらないので偉そうなこと言えないんですが、個人的には実写合成時に3DのオブジェクトをAEでレンダリングしたりリライトしたい場合には非常に強力なツール...のような気がします。なによりAlembic読めるようになるし。

NukeXとAtomKraftの連携は破壊力かなりのものがあって手放せないと思ってるんですが、AE版に関しては...私これ使うかなー...AEで作業してくれってオーダーもたまにあるので持ってると安心な気はするんですが、AEで3Dリライティングとかプロジェクションマップとか、引き受けるかなぁ...受けないような気がするなぁ...。


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