アナモルフィックレンズの特性についてもう少し追記しようと思いました...が、まずは私の知る限りでレンズフレアについて簡単に書いておきます。レンズフレアの出方はレンズの構成によっても非常に多彩で、私には細かな現象まで理解できてるわけではありません。悪しからず...
アニメやゲームでは記号的に使用されることが多いので必ずしも理論的に正しくあることが必須ではないんですが、実写や実写寄りのCGではちょっと気をつけるとフレアに説得力がでる...かもしれません。
まずレンズフレアのゴーストに関して。これはレンズ表面の反射が原因で起こるものです。高性能なコーティングが施されていればゴーストは低減されますが、レンズに光沢がある以上はまったく無くすことは不可能です。このゴーストの形状は、レンズの絞りが開放の場合を除いてレンズの絞羽根の形状と同じもので、ボケで生じる形状と同じです。向きは反射した構成されているレンズ一枚単位の位置によって異なります。絞羽根の枚数が奇数の時は撮影状態によっては稀に180度反転したゴーストが混在する可能性があります。
次に光源から発生するスパイク状のフレアについてですが、これも絞羽根の枚数に起因します。偶数の場合は絞羽根の枚数と同じスパイクが発生するのですが、奇数の場合は羽根の倍の数のフレアが長いものと短いもの交互に発生します。これは絞羽根のエッジ部分で回折した光が両方向に伸びるためです。偶数の場合はこの光は重なり合うので絞りはねの枚数と同じですが、奇数のものよりもはっきりとした長いスパイクになります。ちなみにAfter Effectsのプラグイン「Optical Flares」の「Streak」などはこの法則に則って作用します。
回折は絞りだけなく、光源とレンズの間にあるものであればなんでも起こりえますので、照明機器の形や手前の障害物で起こることもあります。ビルの反対側から光源が出現するときとか、山の稜線に太陽がかかるときなどがわかり易い例。
ちなみに前述のゴーストとして出現する絞羽根の形状との角度の関係は通常は以下のようになります。絞羽根の形状が正多角形でない場合はこの通りにならず、スパイクの数も変則的になる場合があります(例えばZeissの一部のレンズとか...)。
スパイク上フレアは、この他にもレンズ表面の汚れやキズなどによる回折に対しても発生します。レンズの表面にキズがあったり、水滴がついていたり水蒸気で曇りが発生している場合にはスペクトル状のものも見られます。
ゴーストの中には絞羽根の形に依存しない丸いあるいは不定形のコースティクス状のものがあったりしますが、これは光源が映り込んでいるものです。光源が太陽の場合はあまり形状が気になりませんが、水銀灯やクルマのヘッドライトの場合はっきりとその形状をはっきり確認できることがあります。この場合は上下左右反転した映り込みになります。
他にも光の回折や反射によって様々な現象が起こるのですが、私の知識ではこのくらいです。実際のレンズフレアの写真を確認してみると、まだまだ未知のフレアが。
ふと思いついて書き始めたものの、なんかすごく中途半端な内容に...ちょっと調べてまたそのうちに出直して来たいと思ってます。
関連資料として、SIGGRAPH 2011で発表された物理ベースのレンズフレアが興味深いです。
Physically-Based Real-Time Lens Flare Rendering
http://www.mpi-inf.mpg.de/resources/lensflareRendering/
あと様々な光学レンズについて書かれたサイト
Anfo World
http://www.anfoworld.com/Lens.html
上記のAnfo Worldの安藤幸司さんの書かれた書籍。CCD/CMOSとなっていますが、センサーからレンズ、MPEGエンコードなど幅広い内容です。分かりやすくカメラのしくみを説明してくれていますが、単に平易な入門じゃなくて、ちゃんと専門知識への入門になってるという非常に面白い本でした。お勧め。
実はこの書籍はCMOSセンサーのことを検索しているときにGoogle Booksで見つけたんです。そのときは該当箇所を読んで分かりやすくて関心したのですが、ゆっくり読んでみたくて購入。著作権云々で問題になってますが、実は内容がしっかりしてればGoogle Booksは書籍購入のいいきっかけになるなと身を以て経験...
[関連記事]
合成時のアナモルフィックレンズの効果について
レンズボケについて
ブルーバックとグリーンバック
NukeのLenscareの話