OpenEXR v2.2.0リリース

August 18, 2014
OpenEXR v2.2.0がリリースされました。

OpenEXR Announcement
http://www.openexr.com/index.html#announ

上記アナウンスの抄訳を以下に引用したします。

August 10, 2014 - OpenEXR v2.2.0がリリースされダウンロードが可能になりました。このリリースでは以下のコンポーネントを含んでいます:

  • OpenEXR: v2.2.0
  • IlmBase: v2.2.0
  • PyIlmBase: v2.2.0
  • OpenEXR_Viewers: v2.2.0

このリリースに含まれる重要な新機能は:

  • DreamWorks Lossy Compression: DreamWorks Animationによって、新しい高画質・高性能な非可逆圧縮コーデックが提供されました。このコーデックは画質とファイルサイズのバランスをとるために、データ損失を可変コントロールすることができます。さらに、今回の貢献にはPIZ圧縮コーデックの高速化というパーフォーマンス向上も含まれています。
  • lmImfUtil: 画像ファイル操作ユーティリティの開発を補助するために、新しいライブラリが追加されました。多くのタイプのOpenEXR画像をサポートします。

このリリースでは、クロスプラットフォームビルドの改良も含まれています。

OpenEXRのソースは www.openexr.comのdownloadsセクションまたはgithubのプロジェクトページから入手可能です:

https://github.com/openexr/openexr

このDreamWorks Lossy Compression(DWA)の詳しい説明が、After Effects用のOpenEXRプラグインの開発をしているfnord softwareのブログに掲載されています。

DWA compression in OpenEXR 2.2 - fnord software blog
http://fnordware.blogspot.jp/2014/08/dwa-compression-in-openexr-22.html

ざっと読んでみると、DWAはJPEGなどで用いられるDCTアルゴリズムを用いる、(おそらく)HDRフォーマットで初めての非可逆圧縮とのこと。圧縮のコントロール値には浮動小数を使用し、おおきな値になるほど圧縮率が高くなりファイルサイズが小さくなるようです。

ブログ内に、圧縮率の変化にともなう画質を比較したムービーのリンクがあります。

DWAには「DWAA」と「DWAB」という2つのオプションがあり、どちらも使用しているアルゴリズムは同じですが、スキャンラインの走査線数が「DWAA」では32ライン、「DWAB」では256ラインとなっているそうです。一度に全画素を読み込むようなソフトウェアでは「DWAB」のほうが優れていて、走査線単位で読み込むソフトウェア(通常のNukeの読み込み)では 「DWAA」のほうが適しているようです。

After Effects用のProEXR 1.9をOpenEXR 2.2でリコンパイルして公開されています。このプラグインはAfter Effectsでは圧縮レベルのスライダがなく、デフォルト値の45.0が適用されるとのこと。Premiere版(Media Encoderでも使用可能)ではスライダが機能します。

ProEXR 1.9 - fnord software
http://www.fnordware.com/ProEXR/

新しいDWAコーデックを使用したOpenEXRファイルは、OpenEXR 2.2に対応していないプログラムでは読み込みできませんので、プロダクションワークでの使用には充分注意してください。

このコーデックは、今までのOpenEXRのようなプロダクションワーク用というよりは、スクリーニングやHDR対応の上映機器など、従来のJPEG2000に代わるポジション狙ってるのかなと思いますが、どうなんでしょ?


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