私はややアニメ業界(というかアニメの撮影)から遠ざかっているのですが、それでも有り難いことに年間ある程度はアニメ関連の仕事が入って来ます。というわけで遅ればせながら週末にPsAxe最新版をテストしてみましたので、そのレポート。
PsAxeは、アニメーターのねこまたやさんが公開している(現在オープンベータ、価格は0〜1000ニャゴくらい)Photoshopエクステンション群で、要はPhotoshopのアニメーション機能を使って、撮影はもちろん仕上げや作画までを行なうという野心作。これを使えばAfterEffectsやRETAS!がなくてもアニメの撮影ができちゃう優れもの...なのですが、ツールパレットに日本製テレビのリモコンばりにボタンがあって、ちょっととっつきにくい印象はあります。しかしコレ、一度使ってみるとその便利さは病みつきになる感じ。
ねこまたや - PsAxe - Photoshop Animation Xps Extention
http://www.nekomataya.info/nekojyarashi/wiki.cgi?PsAxe
上記リンクにチュートリアルムービーもあるので、それを見てもらえば何ができるかは大体わかると思います。
多くのファイルから構成されていますが、ツールパレットにインストーラーボタンがあるので、クリックしてしまえば自動でインストールしてくれます。タイムシートの入力には別途りまぴんAIRが必要。これも上記ねこまたやさんのサイトでダウンロード可能。Photoshop CS2以上対応で、私はCS4 Extendedで使用。MacProのPhotoshop(CS5)が英語版だったので(多分日本語版でないと動かないと思う)、今回はMac miniの方にインストールしてみました。スペック的にはCore2Duo 2GHzでメモリ8GB。かなりギリギリな感じしますけど、普段アニメの仕事はこれでやっちゃってるので...
CS4だとオプションのPhotoshopパレットが使用できるので、追加インストールしました。これでPhotoshopのドッカブルパネルで使用できます。インストールに使用したスタンドアロンのパネルからでも操作できますが、やや重かったのと長時間使い込んでるとPhotoshopとの接続のエラーが出たりしたのでPhotoshopパネル使用がお薦め。なんかスタンドアロン版とPhotoshop版でボタンの名称が違ってたりしますが、この辺はベータってことで。
起動後にパレットを配置してみたのが下の画像。左側にあるボタン群がPsAxeのツールパレット。
Mac版の場合はアプリケーションフレームをオンにしておいた方が断然使い易い(Windowsだと強制的にアプリケーションフレーム状態なんでしたっけ？)。Photoshopのパレットは右に集める傾向があるように思えるんだけど、個人的には肝心の画像がモニターのセンターから外れてみにくいので、左右均等配置。ツールパレットの配置はこんな感じだと解釈。
撮影関連に関して簡単に説明すると、セルを並べたい場合は、セルのファイルを全部Photoshopで普通に開いてしまい、その状態で「セル収集」ボタンを押すと１つのPhotoshopファイルにすべての画像がレイヤーとして読み込まれます。「振分」ボタンを押すと、自動的にファイル名からセルレイヤーごとにレイヤーフォルダに仕分けられます。その上で「XPS編集」ボタンを押してりまぴんを起動。シート入力してXPSファイルを保存してから「XPS適用」ボタンを押せばセルは並べは完了。
個人的にセル収集ボタン実行時にOLM Smootherを適用してSmoothとカラーキーの設定はできちゃたりすると尚いいんですが...恐らくこのPsAxeというのは、作画〜仕上げまでの工程を新たに構築しようとしているもので、これまではRETAS!に依存していたスキャン／仕上げ環境を大きく変えるべく作られているのではないかと...つまりこれまでのアンチエイリアスなしでの仕上げ作業や撮影時のスムーシング処理などからの脱却を図るべく作られているので、「スムーシング？なにそれ？」というのがPsAxe的アニメ撮影作法なんだろうと思います(...けどやっぱ欲しい)。
デモムービーでも触れられていますが、現状セルのスライドやBGやBookの引き、拡大／縮小などには対応していないとのこと。技術的には可能とのことなので将来的には可能になるかもしれません。現状PsAxeでできるのはセルの並べや配置でありタイムシートの指示を全て網羅していないということに注意が必要。
足かけ３日ほどのテストでは、まだバグらしいバグは見つけていませんが、Photoshopのアニメーションパレットがタイムラインモードだと正しく動かないみたいです。
PsAxeでセルの並べさえできてしまえば、あとはレイヤー毎に出力しFlareやFlameでエフェクト入れることも可能ですし、AfterEffectsセルを並べるよりもより統合的なセル関連作業を提供してくれているので、今後への期待もこめてPsAxeへの乗り換え決定。たぶんこれで仕上げされるようになれば、もっと時間や労力を短縮できるのではないかと期待しています。ただPhotoshopなのでアニメーションのプレビューがちと遅い。
機会があれば次はPsAxeからの出力とかアニメ以外での利用方法も書いてみようかと思ってます...が、あんまり期待しないでください。
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