たまには映画のネタでも書こうかな、ということで『キック・アス』。
日本でも(やや残念な形ではあるものの)公開された『キック・アス』ですが、原作との違いについてちょっと書いてみます。日本公開はないのかと思って、Amazon.comから『Scott Pilgrim vs. the World』と一緒に買ってしまったんですが、いわゆるオタク系の少年がヒーローとなって戦うというコンセプトも同じですし、二つともかなり笑って観れるものでしたが、実は原作はかなり対照的だったりします。
以下ネタバレご免で書いちゃうので注意。
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原作は最近は日本語版も出てるようなのですが、私は以前iPadのcomiXologyで購入して読みました。
comiXology http://www.comixology.com/
序盤はかなり原作を忠実になぞるように書かれています(車を潰すあたりまで)。ただし主人公の性格付け(原作では最初に病院送りにされた後かなり反省したりするけど、やや病的な感じで復帰する)や、学校での友人はお調子者として描かれていないなど、主人公はもっと孤独でその孤独が動機になってます。
その後、原作と決定的に方向性を変えてくるのがBig Daddyの動機付けのあたりから。そもそも原作には元同僚の警官なんて出てこない上に、正義感とか復讐とかじゃない。どちらかというとBid DaddyこそKick-Assの行き着く先という、非常に哀しい描かれ方してます。そんな父親に育てられたHit Girlはもっと暴力というものを素直に受け入れて実践する屈折した子供。最後に転校した先でイジメッ子を撃退するときの表情とか、顔に残った傷跡とか、この子供の将来を暗示。
Kick-Assに加えられる拷問ももっと熾烈だったり、Red Mistはあんなにいい奴じゃないし、決定的な違いとしては原作ではKick-Assは誰一人として自分の手で殺していない。空も飛ばない。そして結局ガールフレンド(というか原作ではそういう関係にはならない)にもフラれたり、学校でも殴られたりして結局立場は何も変わらない。
個人的には原作好きだしお勧めしたいけど、とにかく暗くて暴力の描かれ方も生々しいし、Hit Girlも別にかわいらしく描れているわけではないので、原作読んじゃうと映画の見え方が変わっちゃう恐れありです。読んじゃってから映画みたからなんとも言えないんですが...
この原作をそのまま映画化しても全く救いのない『レオン』みたいになるし、とにかく笑えてHit Girlのアクションでグイグイ引っ張っていったのは大正解。非常にいいアレンジを加えてエンターテイメント化したなと感心。
『Scott Pilgrim vs. the World』についても書こうかと思ったけど、これはまだ日本公開もされない(されない?)みたいだからまた今度。
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