NABに関連して各社新製品のアナウンスなどが続きましたが、そんな中AdobeからCS5.5シリーズが発表となりました。ウェブのニュースをざっと読んだだけでアップグレードの詳細をちゃんと調べずにいたんですが、昨日詳しい内容を調べてみました(とは言ってもAdobeの公式サイトを読んだだけですけど)。
公式サイトから新機能をあげてみると:
- ワープスタビライザー
- ブラー(カメラレンズ)
- ソースのタイムコードのサポート
- ステレオ3Dワークフローの改善
- ライトフォールオフ
- RAWデジタルカメラワークフローの改善
- カラーLUTサポートの拡張
- After Effects CS5として保存
- 強化されたディスクキャッシュ
- XDCAM EXの書き出し
このリストの中で目を惹いたのは「ソースタイムコードのサポート」と「強化されたディスクキャッシュ」。どちらも今頃になってやっと追加された機能ですが、これがあるとないとではツールの信頼性が大きく異なります。
「ソースタイムコードのサポート」はDPXのタイムコードがサポートされるのは嬉しいです。タイムコードの整合性がとれるだけでも助かると思うのですが、どうせならEDLの入出力もサポートしてほしかった。
「強化されたディスクキャッシュ」はこれまでのAfterEffectsの最大の弱点を克服したもの。私の作成した「HS_ProxyManager」も、元々はAfterEffectsのディスクキャッシュがへぼすぎて作り始めたという経緯があるので、ちょっと期待してます。
あと「RAWデジタルカメラワークフローの改善」ですが、CinemaDNGをやっとサポート。CinemaDNGを使うメリットがよくわからないのですが、DSLRムービーなどのコンシューマ路線から切り込んでいけば、ちょっと面白くなるかもしれません。そもそもオリジナルのDNGフォーマットも微妙な感じなので過度な期待はしていませんが。っていうかAdobeも独自規格ならもっとアピールしてもいいんじゃないでしょうかね?あまりに控えめで、これじゃ作った本人が半信半疑のようにも見えちゃいます。
「ワープスタビライザー」とか「ブラー(カメラレンズ)」は今回の目玉っぽいですけど、実際に使ってみないとわからないですし、これまでのAfterEffectsの経緯からするとあまり期待しすぎない方がよさそうです。
さらに今回、Adobeは開発/販売ポリシーを変更してきました。
新製品のメジャーバージョンアップの感覚は「24ヶ月」と長くなり、かわりに中間リリースを行うというもの。この中間リリースはアップデートではなくCS5.5のようなアップグレード料金を伴うバージョンアップでしょう、多分。
あわせてサブスクリプション制度の導入。当初、私はいわゆる保守料金のようなものかと思っていたのですが、実際には月額料金でソフトを使用できるというリース契約のようなものでした。
AfterEffectsの場合には年間契約で7,000円/月になります。これってライセンス購入と比較してお得なのか計算してみると...
2年間使用した場合
サブスクリプション: 168,000円
購入した場合+アップグレード:171,990円
(新規購入+中間リリース1回と仮定して、156,240円+15,750円)
4年間使用した場合
サブスクリプション:252,000円
購入+アップグレード:212,740円
(新規購入+中間リリース2回+メジャーアップグレード1回として156,240円+15,750円+25,000円+15,750円)
※価格はアドビストアでの価格で、それぞれ価格が改訂されないという仮定です。サブスクリプションは年間契約した場合の価格。
といった感じです。長く使うなら買ってしまった方がコストは抑えられます。とは言え、初期投資の少なさもありますし業務で使うならリースとして考えれば納得できるかなと思います。
全体的には今回のアップグレードはなんかサブスクリプション導入のためのアップグレードみたいで、あまりいい印象はありません。各機能を見てもあと1年待ってもあまり差し支えないようなものだし、無料のアップデートで対応して欲しいようなものもありますし...。言い換えれば今まで無料のアップデートとして行ってきたことを中間リリースとして料金徴収しますよということなのでしょう。