serial experiments lain Blu-ray BOX|RESTORE

October 27, 2010
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最近のお仕事情報です。随分時間がかかってしまいましたが、「serial experiments lain Blu-ray BOX|RESTORE」がやっと発売されました。お待ちいただいた関係者(特にプロデューサー)、楽しみにしてくれていた購入希望者の方々には本当に申し訳ないことをしました。
今回はRestore Director & Compositor ということでクレジットされてます。リストアディレクターってなんぞ?という疑問はさておき、すごく簡単にいえば本編映像中のフィルムパートの復元作業です。

発売が延期されてしまったりしましたが、そのほとんどが私のところでの作業の遅延でした。作業開始直後こそ、フィルムの状態やらデータ化にあたってのフォーマットのトラブルなどもありましたが、その分の遅延なんぞ吹っ飛んでしまうくらい、自分の所で停滞しておりました。

各話でどんな苦労があったのかなどは、BD-BOXの付録のブックレットに赤裸々に書かれてますので一々挙げませんが、とにかく最初は当時の雰囲気を壊さず、視聴者の記憶の中でいかに画質補正されてるか(思い出フィルター?!)を想像しながらの作業だったわけで、正直途中で「10年以上も前のアニメが早々高画質になるわけないだろっ!」と投げ出したくなることもあったりなかったり、それでも投げ出せないのが「業」っていうんでしょうか...そういうコンポジッタの本能を的確にくすぐるプロデューサー。さすがだと思いました、ええ...

ちなみに今回のBDですが、RESTOREと題されている通り「復元」されたものであり、通常のリマスターなどとは違います。このころのフィルム時代のアニメのことをちょっと書いておくと、まずフィルムで撮影され、それが現像された上でまずネガ編集をし、それをビデオ信号にした上で当時少ないながらも存在したCGやデジタル撮影を追加してデジベ(あるいはベーカムSP)に記録されていました。よってリマスターとなると、「マスター」はこのテープでありフィルムではありません。もっと古い時代のものであればマスターがフィルムである可能性もありますが...(ちなみにDVD版の方はビデオのマスターから起こしているので、放映当時のものです)

当時の編集はある程度デジタル化されていたので、フィルムで撮影した部分も編集機で修正されている場合があります。そのマスターとなるビデオを参照しつつ、残されたフィルムを再度スキャンしてデジタルによる効果などを追加し再構築したのが今回のBDです。色味の補正やダイナミックレンジの補正などはフィルムパートの全カットに対して行なわれています。
ちなみにコンポジット作業は全て32bit floatで作業され、出力は10bit 4:2:2非圧縮あるいは10bitリニアのDPXで行なっています。コンジット作業で使用したソフトはAfter Effects、Photoshop、FinalCutPro、Color、Nuke、Shake、mokeyです。

本当に楽しい仕事でした。ありがとうございました。




serial experiments lain Blu-ray BOX|RESTORE (初回限定生産)
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