After Effects用のプラグイン、Colorista IIのレビューを書いてみます。
ここ1年ほど、かなりカラーコレクション、カラーグレーディングの仕事をしていたのですが、残念ながらColorista IIはアップグレードだけして全く使わずじまいでした。(AEでのカラコレ作業を前提としてなかったって理由もありますが)3年ほど前に、前バージョンのColoristaを使用したときの「カラーホイールの反応がおそすぎる」という印象が強く残っていて、敢えてこれで行こうと思わなかったんです。
Colorista IIでもUIが重いというのは実はそれほど変わっていないのかもしれません。CS4にインストールしてみると、やはりカラーホイールの挙動はカーソルにかなり遅れてついてくるので結構イライラします。しかしCS5にインストールするとかなり快適。さすが64bit。もう断言しちゃいますが、Colorista IIはAfter Effects CS5で使うこと前提です。
機能についてちょっとだけ説明。
「カーブで調整できない」
カラーグレーディングシステムではおなじみの「Primary」「Secondary」「Master」という3段構成です。旧Coloristaが 「とりあえず3wayホイールでカラコレできます」といった感じだったのに対して、こちらは既存のカラーグレーディングシステムを意識した調整項目が用意されてます。「Colorista Ver.2」じゃなくて「Colorista II Ver.1」って言うのも納得できる感じ。
おおよそ定石通りに考えれば、まず「Primary」でホワイトポイントやグレーチャートなどの調整、カットやカメラの違いによる色の補正を行なって、「Secondary」で更に詳細な色味の調整や演出的なカラーグレーディングを行ない、「Master」で出力される画の最終的なカラーガマットやダナミックレンジを調整するという手順になります。
「Secondary」ではPower MaskやKeyが使用できるので、画面内の特定の場所や特定の色に対してのみ補正をかけることも可能です。しかもこのKeyerが結構使い易い。カラーピッカーの反応もいい感じです。Apple Colorにもこれ欲しい。
Colorista IIの弱点も挙げておきます。
「ストア機能がない」
入力素材のカラコレからグレーディング、出力までの全調整を任されているならいいのですが、例えば複数の人数でカラーグレーディングを行なう場合はPrimaryとMasterのカラコレは指定されていて、Secondary のみでグレーディング作業担当するということも考えられます。そういった場合にリテイク履歴などを残しておいてスクリーンテストやチェック後にどれを使用するか決定したいということがあるかと思いますが、Colorista IIではSecondaryのストア機能がありません。複数の設定を切り替えたり組み合わせて使用することはできません(エフェクト内では完結しないという意味)。
これは個人的に非常にマイナス要素だったのですが、カーブによる調整ができません。Masterではカーブを表示しながら調整できる項目もありますが、カーブを自在に編集することはできません。これはそういう製品コンセプトなので仕方のないこととですけど。
見渡してみると、AE用のカラコレ、カラーグレーディングに関するサードパーティプラグインはColor FInesseとMagic Bulletなどありますが、個別の独立したウィンドウを開くことなく、AE上でこれだけ強力な色補正をできるという意味ではColorista IIは確実に頭ひとつ飛び出してる存在ですね。
Colorista IIは値段(299USD)を考えれば、かなり高機能だと思います。ちょっと前だと専用システムの値段のことを考えて「AEでここまでできるなら絶対的にお勧め」だったんでしょうけど、今はColor(を含むFCS)とかDaVinci Resolveが10万円ちょいで買えちゃうご時世なので、ある程度まとまった量の作業があるなら、無理にAEでやらなくてもいいじゃないかなという気も...
あと補足として、Colorista IIはFinal Cut Proにも対応しています。が、しかし... これが非常に使いにくい。理由はFCPのGUIであってColorista II自体はAE版と同様の機能です。FCPのみでの使用を考えているなら私は勧めません。
以上がざっとColorista IIをいじってみた感想です。長々書いたわりに全然まとまってなくてすみません。
Red Giant Software Colorista II