Amazon.comより「Adobe After Effects CS5 Visual Effects and Compositing Studio Techniques (Adobe Press)」が到着しましたので、ちょっとレビュー。この書籍はAdobe Pressの「Studio Techniques」シリーズの最新版です。過去のバージョンからの読者にはおなじみかと。ちなみに前バージョンは「Adobe After Effects CS4 Visual Effects and Compositing Studio Techniques」でこれは邦訳「After Effects CS4 スタジオテクニック(ボーンデジタル)」も出版されています。
いきなりこう言うのもなんですが、インターネットで有料/無料のチュートリアルが存在していて、ビデオチュートリアルもその内容、画質ともにかなり高水準になってきてるためにこういった書籍の必要性が段々薄れてるように思います。出版されてる書籍も、一見派手なエフェクトの作成に終止していたりプラグインのリストみたいなのが多くて、ほとんど買う気にもならないのですが、この本はAfter Effectsというソフトをコポジッタの視点から体系的かつ理論的に解説してくれてるので、とりあえず新版が出たら購入してます。
この本の特徴はモーショングラフィックスとか、そういう一見派手な内容ではなく、フィルムやテレビの映像制作に関わる人が、いかに品質とデータの安全性を維持しつつコンポジット作業を行なうかというあたりに重点が置かれてます。AEの操作を初心者向けに解説してませんし、VJとかそういうのじゃありません。内容的にはグリーンバックのキーイングとかモーショントラック、マッチムーブ、カラーコレクションなどの合成作業の実践講座がほとんどで随所に画像処理の技術的な解説やエクスプレッションやスクリプトの解説が入っているという感じ。初心者はアドビの初心者向けの解説をまず参照した方がいいです。今のアドビの初心者向けの解説やムービーはよく出来てるので、初心者向けを謳った本は買わなくても済む時代ですよッ。
...で、やっと本題。CS4版と比較すると、構成などに変更はありませんが、CS5対応版となって、内容的にもCS5の新機能を盛り込んだものに変更されています。割と変化は大きかったのは、キーイングとロトスコープ関連のところ。あとは追加ページでScript関連が増えてます(CS4同様紙面ではなくDVD内にPDFで入ってる)。買った方がいいか?と訊かれたら、普段AECS5をコンポジット仕事で使ってる人や今後CS5に積極的に移行するつもりの人にはお勧め、理論的にAE内でのデータの流れを理解したい人や、AEのプラグイン/スクリプトの開発者にもお勧め、ただしCS4以下を使ってる人は最初に挙げたCS4の邦訳版でも充分です。初心者やエフェクトの具体的な作り方を端的に知りたい人にはお勧めしません。
正直な話、同等の知識とか資料はウェブ上で有料/無料問わず検索可能な時代ですので、この本も決して「読むべき1冊」ってわけじゃないんですよね。今後は電子書籍という選択肢もありますし、日本語翻訳版の価格を見たら、ちょっと退いちゃったし... 理解を深めるのに役に立つとは思うんですけど、せめて英語版くらいの価格ならお勧めしやすいけどねぇ...(全然まとまってなくてすみません)
最後に繰り返しになりますが、初心者で、AEで出来ることが知りたい方やAEの操作方法を習得したい方は、まずAEのヘルプを参照してください。そしてAdobeのサイトにある各ラーニングを最大限に活用するのが一番の近道です。本当に役立つと思いますよ。
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